限界を超えた限界

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その日の第3採掘島もいつもと変わらなかった。GRF、EUSTの両陣営がニュード採掘を巡って終わりの見えない戦いを続ける中で行われるボーダー達による代理戦争。両陣営の首脳陣の主義や主張は二の次で、ボーダー達は己の意志と私欲で戦いに身を投じる。 今も鉄道の高架の近くで2機のブラストが銃を向け合う。クーガーⅠ型の強襲兵装とツェーブラ38の支援兵装だ。ヴォルペ突撃銃とASG-スィーパーRの撃ち合いは完全な互角。互いに一歩も譲らない全力勝負だ。 互いに装填しているマガジンを撃ち尽くし、次マガジンを装填した時だった。2機の間を割るように見慣れぬ武器を持った見慣れぬ機体が降下し、両者の手は止まる。 ティアダウナーとは違う仄暗い巨大剣。 ヤクシャともセイバーともつかない凶悪な面構えの頭部 どこまでも暗いのに光を弾いて煌めく黒と、それと相まってさらに輝く黄金のカラーリング。 今まで見たことのの無い不思議の塊に2機のパイロットは、それが何なのか分からなかった。 唯一分かっている事はそれの識別マーカーは《unknown》であり事。そしてその謎の機体は有無を言わずに、2機を同時に斬り伏せた。 直後、それと同じ現象が戦場のあちこちで起こった。 所属不明機による無差別攻撃。それを確認したマグメルは両陣営に属しているボーダーに緊急回線を繋いだ。 《全部隊へ告ぐ。所属不明部隊による侵攻を確認。戦闘中のGRF、EUST所属ボーダーは、戦闘を中止し、現戦域より退避せよ。繰り返す…》 しかし、EUST側は完全に制圧され、残存機は全てGRF側ベースへ避難、退避した。 エイジェンとの攻防戦の開幕であった。
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