裏と表

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クラン《アルビオン》待合室。そこで椅子に座って優雅に足を組んで読書に勤しんでるボインな女性、彼女の名は《邪 黒蓮》。黒い長髪とちょっとだけ焼いた肌、しっかりしたメイクにセルフレームのメガネが似合う美人さん。《ヨコシマ クロハス》なのか《ジャ コクレン》なのか読みにくい名前の彼女は、実はとある秘密機関から送り込まれたエージェンt 『おいリン、変なナレーションをするな』 読んでた本に栞(しおり)を挿み、《邪 黒蓮》は背後で変な言葉を羅列する《リン フレイムス》を睨む。少し焼けた肌とノースリーブのチャイナ服、黒いロングポニーのワンポイントを赤く染めた容姿のリンが不満そうに唇を尖らせる。 『だって暇ヨー!偶然か陰謀か、アルビオンみーんな非番とか有り得ないヨー!』 『いや、偶然だろ?暇なら演習でもしてくればいいじゃないか』 黒蓮が提案するも、リンは駄々をこねて拒んだ。 『イヤヨー!あんな居るか居ないのか分からないのに実はハイスペックな装甲兵と演習なんてイヤヨー!』 『いやいや、お前、姉弟がいるだろう?』』 『エナ歯ごたえ無いしカト姉は決闘しかしないからイヤヨー!というか《演習》はどうしても本気になれないからイヤヨー!』 バタバタと腕を振り回してゴネるリン。ならばお手上げと黒蓮は溜め息を吐き再び読書を始めた。 『…いやいや、相手してヨー』 いきなり放置されたリンは黒蓮に背後からもたれかかって更にゴネる。 『面倒くさい構ってちゃんだなぁお前は。他にも暇そうなやつ居るだろ?』 と黒蓮は他のメンバーに意識を向けさせようとする。因みにルームにはフラジール、伊隅、シエル、エナーシア、バニング、メイが居る。 『言ってもネー、例えばあそこで一人でチェスしてるブラジルさんとか、あんまり近づきたくないヨー』 『《フラジール》ですよ。人を珈琲豆みたく言うのはおやめなさい』 聞いていないようで素早くツッコミを返すフラジール。あまりにタイミングの完璧な返しに黒蓮は驚くが、リンは、ほら見ろ、と言わんばかりの溜め息をわざとらしく吐いた。 『ね?見た?』 『何がだ?』 『今の返し、まるで《デデーンなブロッコリー》ヨー』 『(デデーンなブロッコリー?)』
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