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わーわーと聞き分けのない子供のようなリンが微妙に鬱陶しくなりだした黒蓮は、もたれかかるリンを振り払うと、『フラジールに絡んでこい』とあしらう。
わざとらしく頬を膨らませながらも、つかつかとフラジールの方へ移動し、独りでチェスをするフラジールを、机に顎を乗せてじーっと見つめる。
『暇ヨー』
『そう言われましても、ねぇ?』
『独りでチェスして何が楽しいヨー?』
『行動の先読みする力が鍛えられますよ?先読みはボーダーには必須スキルですからねぇ』
『そんな寂しいアナタには水底がお似合いヨー』
『水底?』
話に脈絡がない。これはこれでなかなか面倒な人物に捕まったと、フラジールは聞こえない程度に溜め息を吐いた。
『…フラなんとかさん!プランDヨー!』
『!?』
本当に脈絡がない。
プランD?
だからどうしろと?
『…面白くないヨー!そこは《いわゆるピンチですね》って言わなきゃダメヨー!』
『意味が分かりまs』
フラジールが言い切るより先に、リンは隠し持っていたペンライトをフラジールに向ける。
『ていっ』
『ファアアァァァア゛ア゛!!(/□\;)』
『!?』
今まで何だかんだで聞いたことのないフラジールの悲鳴(?)にその場に居た全員、そして諸悪の根源であるリンですらビックリした。
『いきなり何をするのでs』
目をしょぼしょぼさせながら抗議するフラジールにリンはかさずライトを当てる。
『ファアアァァァア゛ア゛!!(/□\;)』
『…ナイスリアクションヨー!』
『バカ!』
黒蓮がリンの後頭部めがけ、読んでた本を《縦》に振り下ろす。
『何するカー!?』
『何するカー!?じゃ無い!失明したらどうするんだ!』
『考えて無いヨー!』
『バカ!』
再び本を振り下ろすも、武道家さながらの受け流しで振り下ろされるブックチョップを受け流すとドヤ顔するリン。
『私にはそんなもの、しばらく効かないヨー!』
『しばらくか!』
『…なぁリン』
やりとりを見ていた伊隅がふと疑問を口にする。
『その似非チャイナは仕様?』
『いいえ、普通に喋れますよ?暇だったんで』
ブックチョップが振り下ろされ、リンの後頭部を捉える。
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