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「取りあえず…昇降口に行くにしても、誰が行く?」
「…俺と灯で行ってもいいんだが…」
「?」
秀爾が何か、考えている。言おうか言わないか、悩んでいるようだ。少し、時間を空けて、
「…女子二人を此処に残すのは危険だし、それに…、彼奴の『あれ』があるんだろ?」
それを聞いて俺は察した。彼奴の『あれ』とは、恐らく兼司の事だろう。
「…ああ。なら俺一人で行ってこようか?」
本当は怖かった。一人で昇降口に確認しに行くのは怖かった。『鍵束』を取りに行った時みたいに生きて此処に戻れるか解らないから。だから怖かった。
しかし、此処に留まった所で何かが進むわけではない。だから、そう言った。
すると、
「…灯だけに無理をさせられないよ。だから、私も行く!!」
仁伊奈が、そう言ってくれた。震えながらも、言ってくれた。それだけで、少し恐怖が和らいだ気がした。
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