鍵と地図

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「何の音?」 仁伊奈が不意に聞いてきた。音なんて聞こえただろうか。俺からしたら何も聞こえなかったが…。 「何も聞こえないけど…」 「え!?なんか、ぺたぺたって聞こえるけど」 ぺたぺた? 何かの話し声ならまだ判るが、ぺたぺたとは? それとも何かの足音か? いろいろ疑問が浮かぶ。 そして、 「(待てよ…。足音ってまさか)」 そういえば、確か『彼奴』は靴を履いていただろうか。初めて見た時は何も履いていなかった気がする。 「(まだ確証は無いか…)」 確証は無い。しかし『彼奴』じゃ無いという確証も無い。 「まだ聞こえる?」 「今は聞こえないけど…」 「そうか、なら急いで戻ろう」 何か、嫌な感じがした。 完全に安全とは言えないが、無闇やたらに動くよりは安全なあの『教室』に急いで戻ることにした。
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