第一章 コミュ障とフレ症と

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「なに難しい顔してるんだい。クララ」 その事がまたも頭から離れず、考えながら道を歩いていたら少し前の方から芽吹の声が聞こえてきた。 どうやら考えているうちに歩幅が芽吹達とずれてしまっていたらしい。 「ん?あぁ、なんでもねぇ」 俺は少し速足で駆け寄る。 するとクラリスが気にかける様に口を開く。 「まぁ昨日まで誰と話したこともなかった様ですし、しょうがないわよね。悪ぶりたい年頃でしょうし」 どうやら二重に勘違いをしているが、今日始めてクラリスは俺の意思を思考の範囲に入れてくれたらしい。 今はこれに乗っかるしかない。 「そうだよ。友達でもねぇのに。そもそも友達なんていら……」 「そうよね。友達でもない相手に誘われても困るわよね」 俺の言葉を遮り、クラリスは自分の言葉を、意見を続ける。その瞬間、その言葉を聞いた瞬間俺はクラリスがこの後なんて言うかを分かってしまった。 そして、今まで俺が感じていた違和感、一度した会話をもう一度やり直してる様な感覚がなんだったのかも同時に理解した。 そうか…これは……… 「よし、それならクララ、私達、 友達になりましょう」 これは…今日の俺の夢と同じだったんだ…
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