第二章 ラッキー バースデー

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「「「誕生日、おめでとーーう!!」」」 晴れて16歳になった俺は、自宅に集まった30人超の友人から祝福された。された… 「っめぇぇぇぇぇぶきぃぃぃぃいい!!」 俺はあまりの衝撃に怒号をあげる。 だが、俺の絶叫は虚しく、この30人のギャラリー達の雑談にかき消される。 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ とても10畳のワンルームマンションには入りきらないような数の人間がこの部屋に詰め込まれている。 「しょうがないじゃない」 俺が芽吹を成敗するべく、たった10畳の人の海をかき分けていると、ちょうど目の前にいた帝王クラリスことクラリスがペットボトルのお茶を飲みながら独り言でも言ってるかの様な態度でそう言った。 「私を無視した罰よ」 クラリスは明らかに不機嫌な態度だ。 クラリスがこう不機嫌なのは昨日の帰り道に遡ることになる。 ***** 「よし、それならクララ、私達、 友達になりましょう」 俺が今朝まで見ていた夢は今日起きたこと、いや、今日起きることだったんだ。 だとしたら続きは?俺は夢ではどう返事をしたのだ?思い出せない。今日の今まで起きた事が、会話が、全て手にとる様に分かるのに、思い出せるのに。思い出すことができなかった。 「あ!」 そしてもう一つ、これは夢とは全く関係ないのだが思い出したことがあった。俺は今朝、目が覚めて最初に「あとちょっとだったのに」と、独り言を言っていた。つまり夢はここまでだったのだ。 「ちょっとクララ?」 だが、ここまでで終わった夢に「あとちょっとだったのに」なんて言うなんてまるで俺が友達を欲しているみたいではないか。そんなことあるわけ無い。あっていい筈がない。だって俺は…俺は…梶ヶ谷を…
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