博物館の守護者

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時代は魅せられた。 きらびやかな金銀に、何物にも染まらぬ透き通る水晶に、歴史という時を語る書物に、戦禍を駆けた英雄の剣に、未知の物質に。 人々は魅せられた。 それらを集約し、人々を魅了するという至高の夢に。 ここは現代に生きる人々の夢の街、世界で唯一の博物都市『シルフィガーデン』 世界から集められた多種多様な、いわゆる『お宝』が収容された都市だ。 しかしそれは何もひとつの博物館に詰められている訳でもなければ、様々な人々が協力している訳でもない。 むしろ逆。 この街は、博物館という看板を掲げた者同士の戦場だ。 人々を魅了する宝を手にいれ、人から名誉、名声を得る。他所と差をつけ合う。 宝を買う元金がどこから出るかというのは、入場料などもそうだが、一番の元手は政府がこの街に集う博物館に対して、名誉に沿って与える『奨励金』だ。 名誉を得て、宝を手にいれ、更に人々から支持される。そうして更に名誉を得る。 こうして街は宝と夢で回っている。 人々はこの街の人気ナンバーワンを狙い、人生を賭ける。 最高の博物館に与えられる称号ー『宝箱』を目指して。
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