始まりは逃亡

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昔、親父の後をつけたときに見つけた地下空洞 それを使い 地上では騒ぎの中 たった2人で“外”へ向かい進んでゆく 数日前に入手した本の情報によると 広い隔離区域は基本的に入るのは自由らしい 周りを鉄柵で囲まれているだけなのだから だが出るのは違う 鉄柵の周辺は隔離区域を恐れた住民が残した家が何軒もあり、実際に住まれている民家は数メートル先にある そしてその民家を何人かの警備員が巡回しているらしく、ぼろぼろの格好でもしてれば直ぐに身柄を確保されるらしい もちろん、見つかるとは思わないが念を入れるに越したことはない 洞窟内は暗く 腐敗臭が漂い 水滴が落ちる音が静かに響く 感覚にして30分ほど歩き続けただろうか 僅かではあるが 光がこぼれている場所を見つけた 近づくとそこは 人為的に空けられたであろう1mほどの穴に 木で作られた板が張られ 微かな光はその隙間からのものだった 隙間に手を突っ込み 一気に板を取り外す 外した瞬間 溢れんばかりの光に目を奪われ 一瞬だけひるんでしまう あまりの眩しさに 目を少しだけ手で隠し 穴から外へと出る
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