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私、いや、慧音さんが歩いている道は野道から竹林に変わり、時間はお昼ごろから夕方になりました。景色が変わってもグイグイ歩いて行く慧音さんの目の前に、白っぽい髪に赤と白のもんぺっぽいズボンにサスペンダーな女性が竹林の奥から現れました。私が人物の観察&描写が苦手なのを再認識されますね。
「よっ」
「なんだ妹紅か」
妹紅さんと言われた人は、フレンドリーな感じで慧音さんに挨拶したのに、慧音さんは普通に挨拶をしました。どうやら知り合いみたいです。慧音さんは足を止めて妹紅さんと話し始めました。
「怪我人か? 最近多いな」
「まあね。近頃は物騒で大変だよ」
「ふぅん。まぁ気をつけろよ。私も当たらない様に気をつけるからさ」
当たらない様に。そう妹紅さんは言って、手に持っていた茸を見せてきました。どうやら茸を取っていたみたいですね。当たるってきのこのことみたいです。そして妹紅さんはそこら辺の地面を探しながら何処かへ行ってしまいました。妹紅さんが動くと同時に慧音さんも歩き始めました。
「もう少しで着くから我慢してくれ」
慧音さんの気遣いに私は返事をしません。それは私が慧音さんを未だに疑っているからです。悪い人の様に見えませんが、あんな目にあった身としては全てを疑うぐらいしないとやってけない気がするのですよ。
ともあれ。そんなに時間がかからない内に大きなお屋敷が見えてきました。いかにも日本家屋って感じです。それにしても慧音さんはずーっと私を抱っこしていて疲れないのでしょうか? まぁ慧音さんは大丈夫みたいなので大丈夫なんでしょうねー。
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