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紫ババアとは都市伝説です。なんか怖いらしいですね。金縛りにあったり爪で引っ掻かれたりするみたいです。
外見的特徴は全身紫尽くめの格好をしているとか。着物から口紅まで紫だとか。対処方法はムラサキと三回唱えるか、紫色の物を持ってムラサキと言えば平気な模様。これは近所の小学生から聞きました。
ボロいアパートに住み慣れ、都市伝説の噂話を毎日の様に耳にしていれば、興味が湧かない筈がありません。壁が薄いおかげで、隣の声はこちらにダダ漏れ。会話内容を聞く限りは普通の家庭なのですよ。だから引っ越して日が浅い頃は、小学生共が紫色の物をランドセルにぶら下げているのを見てよく引っ越したくなりましたね。本当に紫ババアがいるの? そう思ってました。周りを冷静に観察すると、皆マジでビビってるんです。何があったかは噂の系統がいろいろあり過ぎて分かりませんが、噂だけが一人歩きしている感じなのです。
ある日のこと。隣の家に住む家族が、お夕飯の買い出しに出かけました。
その時私は玄関のドアを開けようとしていたので、顔合わせをしてしまうところでした。地味に人見知りな私は引越しの挨拶をしていません。噂を知ってしまったので、隣人には挨拶するつもりはないですし。今まで顔を合わせたことがありません。きっとタイミングが悪かったのだと思われます。
遠ざかる声と足音を確認し、ドアを開けます。当たり前ですが外には誰もいません。私も買い物に行こうと思っていましたが、今日は中止にして家で寝腐っていようと思いました。
チラッと隣家の方を見ると、ドアがちょろっと開いています。やっちゃいけない事だとは分かっています。ですが好奇心には勝てませんでした。この時の私は『紫ババアがいないことを証明して小学生から駄菓子を貢いでもらう神となる』という考えと『紫ババアがいてもその証拠を持ち帰って小学生から駄菓子を貢いでもらう神となる』の2パターンです。これなら紫ババアという存在がいてもいなくても、私に損はない筈です!!
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