幻だと思いたい今日この頃

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 眼を覚ましたら野道に寝てました。辺りは草とか木とか勝手気ままに生い茂ってます。虫の音がやけに大きく聞こえる。時間は夜です。星が綺麗。都会じゃこんな景色見れないだろうなぁ。なんてとこから推測するに、ここは田舎です!! それもドがつくほどの!!  ……アパートからド田舎って何がどうなってるんでしょうか? 思い当たるフシがあるとすれば、紫ババアの瞬間移動しかないだろう。きっとそうだ。そうに違いない。でもどうしましょうか? 小学生共にはなんて言おうか。単に紫ババアが存在したと言っても信じてもらえなさそうです。何か証拠が欲しいですね。  土!! 土持って帰ろう!! そして田舎に飛ばされたと言うんだ!! って馬鹿ー。結局はそこら辺の土だろーって言われて馬鹿にされるオチが見えてますよ!! 甲子園じゃあるまいし、土を持って帰るなんてする必要はないでしょうに!! きっといきなりこんな目にあって脳が混乱しているのでしょう。考えがいつもとは決定的に違う気がしましたが、案外いつもこんなもんだった気もします。  仰臥位で寝たまま、星を見ていたらふと顔に影がかかりました。そして私の右の頬に粘性の強い様なドロッとした感じの水滴がポタリと垂れました。暗くて全体は見えませんが、赤い眼が私を見つめています。どうやら水滴は赤い眼の持ち主が落としたものみたいです。口角を吊り上げて私を見下ろす人物は笑ってこう言いました。 「最近はご飯が多くて嬉しいわ。あんたはデザート最後に食べる? 私は最初」  身を半回転させて、腹臥位になると同時に勢い良く立ち上がり赤眼の人から逃げる。良く分からないが、この場に留まってちゃいけない気がしたのですよ。赤眼さんが追ってくる気配はしません。油断していたのでしょうか? 逃げられるとは思っていなかったんでしょう。そういうことにしておきましょう!! 今は裸足でも全力で走るのが先決です。
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