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「あいた」
しばらく走っているうちに、すっかり夜が更けてしまったみたいです。そのせいか足元があまり見えなくなってしまい、結果的に私は足で尖った何かを踏んでしまいました。それが皮を破って私の足から血が出た感触がしたので、私は必死に動かしていた足を止めました。足の裏を見ると、血が出ているだけで何も刺さってないみたいです。うぅむ、これ以上走るのは厳しいです。足的にも体力的にも。こう見えて結構息が上がっています。足の裏を見たついでに、木に寄っかがって体力の回復に努めます。体力を回復するとしたら、先ほどの化物が見えない今ぐらいしか……。
「だ~れだ」
私の目を手の様なものが覆い、私の視界を奪ってしまいました。突然真っ暗になった視界と、先ほど耳にした声にすっかり私はビビってしまい。悲鳴も何も出せない。ただ震える両足でも立っていられる様に力を込めることだけが今の私に出来ることでした。
私が答えないと分かったのか、手は私の顔から離れた。ゆっくりと閉じていた瞼を上げます。すると眼の赤い子が私の目の前にいます。いつの間に私のとこにこの子は来たのでしょうか? 得体の知れない恐怖にすっかり身を縮みこませていた私に、赤い眼の子は私に向かって手を伸ばします。その手は私の首を掴み、私を持ち上げました。もがく気力もない私の目の前で、赤い眼の子は小さくて赤い口を開けていました。
あぁ、食べられるんだな。自分より小さな子に首根っこ掴まれてそんな突拍子もない事を考えるなんてどうかしてると思われるかも知れませんが、動物の直感的な何かでそう感じたのです!! こればかしはもう諦めるしかなさそうですね……。
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