プロローグ

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「珍しいな、お前が準備に手間取るなんて」 「入学初日なので、緊張してしまいまして」 皆からよく言われるが、僕は緊張しやすい体質だ。 多少のことでもすぐに緊張してしまう。 例えば小学校であった演劇では、目立つ役を選ぶとなんかしらの失態を犯した。 一年の時は浦島太郎の主役をえんじた。劇中で3回こけた上途中で倒れた。 2年の時は桃太郎の鬼を演じた。 劇の途中で緊張して台本を忘れてしまい、桃太郎を劇の途中でふっとばしてしまった。 3年から6年まではその反省を生かし目立たない役を選んだがそれでも失敗した。 女の子と話す時は相手の顔が見えてなければいいが、見えていると赤面してしまい何を話せばいいかわからなくなる。 「高校生になっても治る気配がないなぁ、そのくせは」 「しょうがないですよ、 生まれながらのくせなんですから」 「まぁ、そうやって緊張しているのもお前らしいから、いいんだけどな」 「...同意」 会話が終わり、ふと時間を見る入学式が始まるまで15分ほど時間はあるが、優斗は表情が一変した。 「やばい、早くいこうぜ、 じゃないと奴がくる」 そう言って走ろうとする優斗の腕はすでに誰かの腕と組み合ってた。 「優斗さま捕まえました」
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