―其ノ参―

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「委員長だからだろ」と、大介が答える。「優等生がある日突然金髪にしてきたら、誰だって心配する。お前ら問題児と違ってな」 「フフン、言えているな。悔しいならばいい加減そのチャラチャラとした髪形を辞めるんだな六原。非常識だ」 「四六時中ヘルメット被ってる奴に言われたくねーよ」 「なあ、確かに委員長のことは気になるが、今はウォレの話を聞いてくれよ」  拳が話の軌道を修正し、話題は彼の恋バナへと戻される。育についてはきずなに任せれば安心というのが男達の結論だ。人任せにすればいいというわけではないのだが、とにかく友達マスターであるきずなが動いているのならおそらく問題ないのである。もし手を貸してほしいのなら、彼女は遠慮せずに連絡をくれる。自分達はそうなった時に動けばいい。  なので、きずなの負担を和らげるために大山拳の悩みは大介達で受け持つことにした。 「恋の相談っつったらシャギーっちだな」 「確かに僕は先月告白を経験したが、別に成功したわけじゃないぞ。ないのさ。ないのだよ」  彼の言う通り、シャギーと照子の関係は友達以上恋人未満という中途半端なものであり、お互い好意を寄せてはいるものの照子の恥ずかしがりっぷりが邪魔をしてまだカップル成立にまでは至っていない。 「ならば瀬野に聞けばいい。一つ屋根の下で暮らすまでに発展しているのだからな」 「だから、俺と叶はそんなんじゃねーよ」  速人の言葉を否定しつつ、大介は麦茶のおかわりを注ぐ。今一つ頼りない友人達を前に、拳が提案を投げかけた。 「まずはその子のことを話させてもらってもいいか?」 「まあ、そうだな。どんな子なのか知っておくのも大切だ。話してみろよ」 「ああ。じゃあ聞いてくれ」拳は穏やかな目で天井を仰ぐ。「ウォレと彼女の、運命の出会いを」  ◇  出会いは昨日の放課後のことであった。  帰路を歩む大山拳の耳に聞こえてきたのは、若い女性の悲鳴。恐る恐る現場であるビルの陰を覗いてみると、女の子が不良っぽい男二人に絡まれていた。
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