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君と俺に、夜風が吹き抜ける。
二人の間に距離は無く、
重なる唇のお陰か、普段は寒く感じるその夜風すらも
俺には、不思議と心地よかった。
そっと唇を離し、君は恥ずかしそうにはにかみながら、愛してると呟いた。
そう、俺はようやく彼女に触れられたんだ。
嬉しかった。
それを知って欲しくて、強く抱き締めた。
ーーーでも、現実は残酷で
抱き締める体からどんどん熱が引いていく。
瞳からは生気がゆっくりと、確実に無くなっていく。
お腹からは、もう見ていられない程の血が溢れ出していた。
ーーー君の瞼が、眠るように閉じられていく。
最後に聞いて欲しい。
きっと届かないだろうけど、
ーーーーー俺もずっと、愛してるよ。
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