かわいいあなたへ

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土曜日、午後四時頃。 駿さんが学校帰りに私のかばんを持ってきた。 「はい、これ。昨日はどうしたの?」 そんなの言えない。 「ん、別になんでもないよ。ちょっと用事を思い出しただけ」 なんて、ありきたりな嘘を吐く。 「そっか。・・・上がっていい?」 ちょうどお母さんもお父さんも仕事でいない。 ここで嫌だと言ったらそれこそ、二度と喋れなくなるかもしれない。 「うん」 部屋に上げたものの、無言の時間が続き、時計の音だけが部屋に鳴り響く。 「・・・お茶と、コーヒーどっちがいい?」 とりあえず、お客さんなんだからと、おもてなすことにした。 「コーヒーで」 数分後、私がコーヒーを持ってきたと同時に、駿さんがこういった。 「亜希ちゃんはさ、かわいいし、面白いし、単純だし、一緒にいて楽しいよ」 「え!?」 いきなりの褒め言葉のオンパレードに顔が真っ赤になった上に大きな声を出してしまった。 「だから・・・」 心臓のドクドク言う音がやまない。頭が痛くなってくる。 「亜希ちゃんなら付き合ってもいいかな」
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