愛をこめて殴る 

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いた。次の日、僕はまた公園へ行った。 「こんにちは」 今日は向こうから話しかけてきた。 こんにちは、と返し会釈をした。 「よくここへ来るの?」 「はい。気分転換できるんですよねえ」 ふふ、と笑って彼女は答えた。 その意見には僕も賛成だ。 「あの、名前とか、よかったら教えてくれませんか?」 「駿。山崎駿。」 自己紹介のようで、少し恥ずかしかった。 その感情が顔に出ていたのか、彼女が笑った。 ああ、またこの子も「かわいい」とかいうんだろうな。 「私は、藤本亜希って言います」 彼女はかわいいとは言わず、名前を名乗った。 若干違和感はあったけど、まあ、せっかく名前を言ってくれたのだし。 「亜希ちゃん」 名前を呼んでみた。 するとまた、ふふっと笑って、 「なんですか?駿さん」 と、言った。 なんだかそれが、すごく愛しく、気分が和らいだ。
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