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それからほぼ毎日、公園で僕たちは喋るようになった。
だけど、彼女はあまり自分のことを喋らない。
僕が話してることにただただ、相槌を打ち笑っていることが多い。
「今度の休みの日、僕の家に来ない?」
色々彼女のことを知りたかったから、誘ってみた。
亜希ちゃんはまってました!とでもいうように満面の笑みでOKサインを出した。
そして次の日の日曜、亜希ちゃんが僕の家に来た。
よく考えれば、僕の家になにか亜希ちゃんが喜ぶものはあっただろうか。
「ごめん、僕の家何もないよね」
といいつつ何かないかと探す。
すると僕の勉強机の上でなにかを見つけたようだ。
女子中学生が興味の沸くものなどあっただろうか。
「これ、駿さんが描いたんですか?」
彼女の目線の先には僕が描いた絵があった。
片づけていなかったことにきづいた。
焦りながらバタバタと片づけると、なんで片づけたんですか?と片づけたところへ
向かっていく。
「やっ・・・だって恥ずかしいじゃない。そんな他人に見せられる絵じゃないし・・・その、まだまだゴミだし・・・」
もごもご言っていると亜希ちゃんは容赦なく、勉強机の引き出しを開けた。
そしてまじまじと僕の絵を見つめる。
「すごいですね、鉛筆一本でここまで細かく濃淡を表現できるなんて」
そして亜希ちゃんは微笑んだ。
僕はその微笑んだ亜希ちゃんを描いてみたい、と思った。思っただけだけど。
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