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江 戸の街はいつもと変わらなかった。 土 方は、やはりコイツ一人で行かせても良かったのでは、と考えながら歩いている。 「あれ、旦那じゃねぇですか?」 隣を歩く沖 田が指をさしたのは、近くにあった甘味所。 土 方はそちらを見ることなく歩く。 「土 方さん?」 「何だ」 「行かねぇんで?」 「どこに」 「旦 那の所でさァ。いつもなら絡みに行くのに」 「今日はそういう気分じゃねぇ。とっとと行くぞ」 「……へい」 土 方の足が速くなったと感じた沖 田の顔が、少し歪む。 「土 方さん」 「あ?」 「ちょっと、こっち向いて下せェ」 どうしたのかと土 方が振り向く。 その瞬間、沖 田の唇が土 方のそれに重なった。 甘い、匂いがする。 そう感じた土 方の脳裏に、昨夜の出来事が蘇ってしまった。
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