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「何、しやがるっ」
「オイオイ、危ねぇよ!」
銀 時の手を振り払って席を立ったが、立っていられなかった。
頭も足もふらっとして、反射的に目を瞑る。
「……ったく、ビビった……」
目を開けると、目の前には銀 時がいた。
自分を支えてくれたらしい。
「立てるか?」
「……っ立てる」
銀 時の手から逃れ、一人で立とうとしたが、やはりそれは出来なかった。力が入らなくて、座り込んでしまう。
「お前飲み過ぎだから。中毒になりますよ」
「うるせぇ、ほっとけよ」
「いや……、目の前で座り込んでるお巡りさんはほっとけねーわ、さすがに」
ハァ、とため息をついた銀 時が、なにやら勘定をしているようだ。
しばらくして、銀 時の瞳がこちらを向いた。
「ホラ、土 方。一緒に行ってやるから」
「……は?」
「肩貸すっつってんだ。早くしやがれ」
半ば無理矢理腕をつかまれ、土 方は銀 時に力を預けて、引きずられるように歩いた。
外に出て、しばらくしてから耳元で声がした。
「借り、返してもらっていい?」
まだ貸してる途中だけど。
笑いを含んだ声に頷いた。
後から金を集(たか)られたり、周りの奴らにこのことを言われるのも面倒くさい。
ならば今、返せるものは返そう。
「そ? じゃあもう少し、俺に体預けとけ」
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