もう一度この手を握る為に

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5番目のNoah・ジャクはある貴族の家族と仕事を通して親しくなった。 その貴族の息子・エリックとやがて恋人になっていった… ジャクは18歳。 エリックは13歳という年の差であったが、エリックが大人びていた為かあまり年の差は感じなかった。 同性同士が愛し合う等御法度な時代。 それだけではなく、魔女狩りも彼等を苦しめるコトとなった。 父や母にバレることなく逢い引きしていた二人。 いつもの庭園で話していた。 「エリック。魔女狩りでNoahが次々と処刑されてる…」 「魔女狩り…?心配しなくてもジャクは…」 「Noahだとバレる可能性はある」 「僕が護る」 「無茶は言わないでくれ…エリック。解ってるだろ?こんなコトも駄目なのに…」 絡み合う手を離すジャク。 縋るようにエリックはジャクを抱きしめた。 「…誰にも僕達の邪魔はさせない」 「無理だ。エリック。別れよう。いくら貴族と言えど、無事でいれる保障はない」 「そんなコト、ジャクが気にする必要はない!」 「…エリック」 そっと抱きしめ返して押し返した。 「もう会うのはやめよう」 ジャクはそう言い残して去って行った。 会えなくなって三日後。 遂にジャクにも魔女狩りの魔の手がかかり始めた。 エリックは必死にジャクを探したが… 見つけた時には遅く… ジャクは自決していた。 教会で息絶えたジャクを見つけた… 綺麗で壊れてしまいそうな身体を抱え… 決めていたコトを行った。 エリックはNoahを救う14番目の隠されたNoahであった。 14番目として、処刑されたNoah達に“再生”を与えて来た。 「ジャク…僕はすべきことは全てやった…唯一出来なかったのは君を護ることだけ…二度と離れてなるものか…」 ここに来る前に、自らの記憶と心をオルゴールに封じてある人物に預けて来た。 彼は必ず、来世の僕に渡してくれるだろう。 二度とジャクを離さない。 忘れてはならない。 ジャクに“再生”を与え、身体が傷付けられぬよう術を施し… ジャクの右手を左手で握り… 決して、離れぬよう術を施して毒を飲んだ。 遺書を添えて… あの庭園で僕はジャクの亡きがらと共に死んだ。 父は絶望しただろう。 遺書には… [私とジャクを離すことは出来ない。ジャクと私を一緒に焼きなさい。私の身体に刃物は通るがジャクには通らない。私を大事に思うなら父上。お願いします] と書いておいた。
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