序章

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妙に懐かしい。 シャーペンを持つ手が震える。 懐かしくて、愛しくて、苦しくて、切なくて… 何故この単語にこれほどの感情が沸き起こるのか分からない。 ふと、頬に温かい感じがした。 そこに触れて気付いた。 頬に涙が伝っている事に… あたしは慌てて涙を拭った。 おかしい… 今日の自分は何かおかしい。 珍しく授業の予習なんかしようとしたからだ。 柄にもないことするから、おかしくなっちゃったんだ。 そうだ、一眠りしよう。 どうせ、数学なんて起きていても分からないんだ。 寝よう。 眠ればもとのあたしに戻れる。 自分にそう言い聞かせ、あたしは机に突っ伏した。
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