序章

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パンを口に詰め込み、牛肉で流し込む。 それから、机の上にあった菓子パンと母さんが作ってくれたお弁当をひったくる。 部活のジャージをナップサックに詰めて、スクールバックを肩にかけた。 「行ってきます!!」 叫ぶように一声かけた。 すると… 「気をつけてな」 警察官で時代劇好きの優しい父さん。 「単語テスト頑張るのよ?」 厳しくてお節介たけど、あたしのことをいつも考えてくれる母さん。 「今日も一日頑張れよ」 優しくて、なんでもできるあたしの憧れの兄さん。 「行ってきますっ!!」 あたしはもう一度そう言って家を飛び出した。 家の脇にあったチャリに乱暴に荷物を乗せ、それに跨って全力で学校を目指す。 風を切る感覚が気持ちいい。 だが、そんな気分にゆったりする事はできず、あたしは全力でチャリをこいだ。 桜が舞う、四月某日。 今まで至って平凡だったあたしの人生は、動き始める。
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