序章

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ホームルーム開始のチャイム二分前… あたしは教室に滑り込んだ。 窓側の自席に座り、机の上に突っ伏した。 階段を駆け上がって来たから、身体が熱い。 チャイムがなってホームルームが始まる。 あたしは頬杖をついて、ぼんやりと外を眺めた。 そよ風が桜を青い空に踊らせる。 そのそよ風に乗って、青いふわりと甘い香りが漂った。 昔、嗅いだこと何かのあるような香りで、妙な懐かしささえ感じた。 だが、香ったのは一瞬の事だったので、あたしは特に気にも止めなかった。 再び、春の心地よいそよ風があたしの頬を撫でた。 その時…
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