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俺がサラーム公国からクロフォードへ帰ってきたのは、日が朱くなり始める時間だった。
依頼を達成した時点ではもう少し早く帰って来られると思っていたのだが、実際はこんな時間までかかってしまった。
理由は色々あるが、一番はサラーム公国内の領主の一人が空回りな企てをしたことだろう。彼女の行動によってことが面倒になってしまったのは間違いない。
王女であるソフィアを救うために、ソフィアがエデンへの報酬になることを国際問題にしようとしたのだ。
エデンはどこかの国と関係が悪化しようと困ることの無い組織の為、その時点で彼女の企ては空回りだ。
そんな空回りしている領主がとった方法がソフィアの縁談というものだった。
縁談の相手はアロガンシアの勇者とクロフォード次期領主。ハルト=クドウという俺の友人と、この俺本人だ。
この領主の行動は国に害をなす行動だとサラーム公国裏顧問の地位を持つエリスに判断され、彼女は死罪となってしまった。
俺は自分が抱えることになる罪悪感を減らすために、彼女の死罪を取り消そうと奮闘しこれ程に時間をかけてしまったのだ。
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