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「はじめまして」
目の前の人型は、見慣れた男だった。俺の人生で最もよく知った人物。
それは俺の姿だった。
「はじめまして、か。素敵な姿だな。アンタ、いい趣味してるよ」
「すみません、気に障ったのでしたら謝ります」
「他人の容姿に意見できるほど俺は偉くない。それより、俺は死ねたのか?」
「死んだではなく、死ねたですか……。確かに、君は死にました」
高校を卒業し、大学生活の準備を始めた春。自らの意思で死ぬこともなく、ただ退屈な日常を続けていた。
そんな俺はある日、突然の胸の痛みに倒れた。心筋梗塞だ。
倒れて目を覚ませばこの空間だったので死ねたとは思っていたが、どうやら本当に死ねていたようだ。
「それはよかった。もう正直あの世界は嫌だったからな。俺は潜伏型ではあったが社会不適合者だった」
「…………。そうですか。では、私が来た目的はあなたの邪魔になってしまいそうですね」
「目的? というかアンタは誰だ? アンタが俺を殺してくれたのか?」
俺の質問に、無駄に丁寧口調な俺が答える。
「確かに私があなたを殺してしまいました。私は神、世界を創造し管理する者です。私の手違いで殺してしまいましたので、謝罪と代償に来たのですが……」
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