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遅くなった理由は他にもいくつかあったが、それが一番の理由だ。
俺が提示した方法は、縁談相手の両方に俺が直々に話をつけるというものだった。それで問題ないと思うのだが、エリスが断固として反対した。
エデンの者がそんなことをするべきではない、と。
最終的には、この問題の解決を領主からエデンへの正式な依頼とし、俺が担当として受ける形をとることで収まった。
「ただいま」
クロフォードの領主邸に帰宅した俺は、玄関の扉を開いて誰も居ない空間にそう声をかけた。
俺の後ろから、依頼の報酬として王族から俺の所有物へと堕ちてしまったソフィアが、そっと付いてくる。
すぐに何人かの使用人とすれ違ったが、彼らは笑顔で俺を迎えるだけでソフィアについて何の詮索もしてこなかった。
食堂まで辿り着き、扉を開けて中に入る。
「ケイくん、おかえり」
「おかえりなさい」
大きなテーブルにウェンディとルナ、それと三人の使用人がついて食事をしているところだった。
「ただいま。あとで少し話がある。とりあえずは夕食を二人分もらえるか?」
使用人の一人が立ち上がり、速足で厨房へ向かった。
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