悩める勇者

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「こいつの名前はソフィア。詳しくは後で説明する」 「んー……? ソフィアって……まさか?」 「たぶん、そのまさかだ」  ウェンディは俺とソフィアを見比べ、満面の笑みを浮かべた。 「ケイくんってば積極的じゃん!」 「……残念ながらその認識は間違っていると思うぞ?」  苦笑しながら否定するが、ウェンディは全く気にせず笑顔を浮かべたままだ。 「あ、あの……。貴方はいったい……?」  後ろから服の裾を軽く引かれ、俺は後ろを振り向く。  振り向いてみると、ソフィアが俺の服の裾を掴み、上目づかいで俺を見つめていた。 「俺の名はケイ=クロフォード」 「真理の探究者、黒の英雄、クロフォード領次期領主様。色々な呼び名のある人物ですよ」  ルナがニコリと笑いながら口を挟んだ。  その言葉を聞き、ソフィアは固まってしまう。きっとクロフォード領次期領主という呼び名が相当な衝撃を与えたのだろう。 「お待たせしました。どうぞこちらへ」  厨房へ行っていた使用人が前菜の乗ったプレートを持って戻ってきて、俺にそう言ってテーブルの席へと勧めた。
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