12人が本棚に入れています
本棚に追加
「出来ないとか…あはは。冗談キツいな。」
「本気ででけんもん…仕様がないやんか。」
プッシさんは目を潤ませて口を尖らせて、泣きそうになっていた。
ちょっ、泣くな、わー何か悪いこと言ったかな?
気が強い女に見えるが、意外と泣き虫なんだな、プッシさんは。
「あれだけの実力あって、弦張れないって信じらんないのが普通だって。しかし、弦張れないのに、何で弦張りがめんどくさいグレッチなんだよ。プッシさん面白いな。」
わーは、プッシさんからギターと新しい弦を受けとって、弦を張り替える。
「自分で出来ないと、色々不便じゃないの?」
「うん、前のバンドのベースにやらせとったんやけど、弦張り出来んでってクビにされたんよ。アハハ…。」
「クビにされた!?そのベース阿呆だな。プッシさんのギターとメロディーが無かったら、あのバンド成立しないだろ?」
弦張り出来ないっていうのは表向きの理由だろう。
恐らく嫉妬だな。
あのベースの作る曲じゃあのバンドは、ダメだな。消えるのも時間の問題だ。
「アタシが足を引っ張ってたんだと。弦も張れない実力の無いギターは要らないってさ。曲なら自分にも書けるし、アンタ要らないって言われたぞ。」
「まあ、確かに楽器のメンテは基本だからな…でも、プッシさんのギターの実力は凄いよ。並みの実力じゃないと、わーは思う。」
わーは弦を張り終えたギターをプッシさんに渡す。
最初のコメントを投稿しよう!