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村正を振り下ろすなか、俺はオーディンの姿を見据えた。
彼は巨大な体の半分を無くしていた。
彼に包まれていたレイもまた、左腕を無くしていた。
重力を軋める村正とぶつかる寸前、オーディンは消えた。
「敵はオーディンでもグングニルでもありません!」
レイがそう叫ぶとグングニルが強烈な光を放つ。
直後、腹部に走る焼かれたような熱さ。
「ガハッ!」
情況を把握する前に、俺の口から吐き出される血。
『やられてしもうたな。
我も読めなんだ』
村正がため息をつく。
俺はその声を無視して強烈な痛みを感じる腹部を見る。
そこには、レイから伸びる光。
あぁ、負けたのか。
「敵はこのあたしです!」
レイは声を枯らして言う。
その声をきっかけに、俺の意識は遠ざかる。
視界が白くなっていく。
まだだ……。
まだ負けられねぇ……。
道連れに……。
俺は遠ざかる意識を無理矢理ひき止めると手のひらをレイに向けた。
「てめぇも……死ね」
【鬼火】発動
スキルを発動したのを最後に俺は意識を手放した。
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