二章 /3

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「兼続!」 謙信が叫ぶ。 「御意!」 愛の文字が兜に付いている男が応えると剣を抜いた。 【以義愛守・瞬】発動 「失礼します!」 兼続が一瞬で僕の前に来ると、僕を下へ投げた。 そのあと、上空では木をすべて避けきる兼続がいた。 「熱くなるな、小次郎」 赤黒い風でなんとか着地すると、横にいた謙信が言う。 チッ、くそが。 「さーて、反撃しちゃうかね」 信玄は軍配で肩を叩きながら言う。 謙信は黙って七支刀を構える。 ヒュン! 謙信の後ろに現れた兼続も剣を構える。 信玄の後ろに控える幸村も十字槍を構える。 「小次郎、兼続、幸村で先陣を切っちゃおうかね。 謙信と儂は虚をつく。 隊士たちは儂と謙信がいったあとに総攻めだ」 信玄は普段のふざけた顔と声を引き締めて言う。 なるほど。 時間差をつけることでペースをこっちに持っていくのか。
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