序章

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『大スクープ! 遂に世界初の意識転送機能を採用したオンラインゲーム、ファイナルクエストが発売!』 テレビのニュースで見出しとしてでかでかとそう書かれていた。 テレビではファイナルクエストに関する話をずっとしている。 新聞もーー あの情報サイトの2chでさえ騒いでいる。 『この方々は前日の夜から並んで手に入れたそうです!』 液晶画面越しにいるアナウンサーが男五人組を指して言う。 ファイナルクエストの開発者である曽根 卓真は次のように言った。 ーー私はゲームを遊びとは思わない。 トランプであれ、一種の賭けなのだーー その通りだ。 お金を賭けないにしろ、勝ちというものを手に入れるために自分のあらゆるものを賭ける。 それは時間であったり、集中力であったり、時には誇りでさえ賭けるだろう。 「オンラインゲーム……くだらないわねぇ」 横でソファに座ってテレビを見ていた姉が鼻で笑う。 俺はそのくだらないゲームを買った。 なんて、言えない。
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