あの日

2/6
前へ
/11ページ
次へ
急な傾斜が延々と続く坂。僕の帰宅において一番憂鬱な時間はその坂を上るときに他ならなかった。 歩けば歩くほど何かに締め付けられるようなはがゆい気分になり、とにかく「不快」という言葉以外何も当てはまらないほどで、いやむしろ抱かれる嫌悪感は清々しくもあった。特に気分が悪い日なんかはこの坂を見て舌打ちをしたくなってしまう。いや、実際にしていたのかもしれない。 そんなことを思いながらもいつものようにこの坂を上っていた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加