壱.

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 促されるままにそこに腰掛けると、向かいのデスクに少年が続いて座った。  …ちょっと待て。  まさか、だよな? 「もしかして…あんたが生徒会長なのか?」 「もしかして、君が生徒会長さんなの?」  郁と声が重なった。どうやら考えていたことは一緒だったらしい。  少年は大きくつぶらな目をぱちくりと二回ほど瞬きさせると、大袈裟に驚く仕草をした。 「えぇーっ!?まさかそうとは知らずに俺に声をかけたのかい君達は!」  いや、声をかけてきたのはあんただろう。  そう突っ込みたい気持ちを抑え、アメリカのコメディー番組張りのリアクションを取った少年、改め生徒会長をまじまじと見つめる。  …どこからどう見ても中学生くらいにしか見えない。中学生でなかったにしろ、俺より年上には到底見えない。まぁ、郁みたいな奴も居ると考えると不思議ではないのかも知れないが。 「すみません会長、僕達新入生で、まだこの学校の事とか全然わかってなくて。会長の事も全く存じ上げてませんでした」  普段の郁からは考えられない程の嫌に低姿勢な物の言い方に、思わず吹き出しそうになる。しかし、新入生、という言葉を聞いて、会長は「あぁ、成る程ー」とパチンと指を鳴らした。  一々漫画のようなアクションをする奴だな。 「それで、新入生の君達が生徒会室、もとい俺に何の用だい?依頼じゃないとすると…あ、もしかして生徒会に興味があるとか?見学は放課後しか受け付けていないんだけどなぁ」 「あの、失礼ですが」  一人で話を進める会長に、郁が手を挙げて口を開いた。 「ん?何だい、キュートなボーイ」 「色々聞きたい事とか突っ込みたい事は山ほどあるんですけど、一つ聞いても良いですか?」  会長のボケ(たのかはわからないが)を無視し、淡々とした口調で言う。 「うんうん、一つと言わずいくつでも質問してくれて構わないぜ。何ならスリーサイズも教えてあげよう」  誰得だよそれ。 「会長は先程、『授業中にこんな所で何をしているのか』、と僕達に言いましたよね?それはこちらからも言える事なんじゃないかなと」 「あぁ、確かにな。そこんとこどーなんすか」  俺とした事が、そんな事気にも留めていなかった。というか、授業に出ないのが当たり前みたいな振る舞いの彼の所為で、違和感さえ感じられなかった。 .
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