1章 私立香城館高校

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ホームルームが終わり、ジャージに着替える。 そして、利央やスタンに仁と冬馬は新入生のサッカー部員が集まっているグラウンドに向かう。 「わあ、すげえな……」 人工芝の経験があまりない利央はトレーニングシューズで感触を確かめようと何度も蹴った。 沖縄では人工芝でサッカーができるグラウンドが少ない。 でこぼこしている天然芝や、砂利があって砂ぼこりが舞うグラウンド……。 雨季になれば泥に足をとられて、まさに泥試合。 利央が小さい時からプレイしてきた環境だった。 人工芝のある学校で本格的なサッカーができる、利央はとても嬉しかった。 「やっぱり、土のグラウンドよりは芝だよねえ」 「当たり前だ」 仁が背伸びしていうと、あくびをした後の冬馬がいった。 芝のグラウンドを囲むように陸上競技用のトラック(走るためのコース)がある。 その中央に一年生が18人ほど集まった。 さすが、本土の私立高……みんな顔立ちがしゃきっとしている。 俺も引き締まっていかないと、と利央は両手で顔を叩いた。 全員が集まったところで、トレーニングウェアを着た20代前半の若い男性が一年生たちの前にやってきた。
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