1章 私立香城館高校

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仁に冬馬のことを尋ねると、どうやらサッカーの国といわれている静岡出身で、全国中学総体にも出場したことがあるらしい。 静岡の過去何年かの記録でトップクラスに入るほどゴール数を誇り、チームの得点王で名のある強豪からスカウトされたらしいが……。 「いろいろあってウチにきたみたい」 演説が長い入学式が終わり、教室へ戻る途中に仁は小さい声で利央たちにいった。 性格がキツい冬馬も、あの語り口の熱い木戸川って人に惹かれて入学したのだろうか。 自分や仁、スタンのように。 「つか、どうやって冬馬から話きけたの」 「中学総体で一緒に対戦したから。まあ、俺が負けちゃったけど」 「そうなんだ。ところで、仁はどこからきたの?」 利央は仁の出身地を尋ねていないことに気付いた。 「俺?俺は北海道の小樽から」 「北海道!遠いね……」 利央は驚いた。 南の果てから来た自分と同じようにサッカーをするために、北の果てから彼も来たのか。 「遠い、かな?そういったら利央くんの沖縄も十分遠いよ」 仁は微笑む。 落ち着いた口調で人当たりがいい、冬馬と比べると安心感がある。 「さあ、ホームルーム終わったらお待ちかねの部活!」 今にも飛び上がりそうな調子でスタンがいって教室に入っていく。 二人は笑ってあとを追った。
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