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あの男の同胞を一体何人殺しただろう。
灯火規制がかかっていたのだろう、日が沈みかけているにも関わらず、誰も明かりを灯さない。
夜中に明かりを点ければ爆撃されるという理由で灯火規制は行われる。
そんな馬鹿げた習慣が続いていたのだ。
交戦規定に従い、民間人に対する意図的な爆撃はされない。
仮にそんなことが行われようものならば、我が国は国際社会で孤立する。それがわからない上層部でもないし、パイロットも賢い。
街外れに差し掛かった。
刈り入れの終わった畑が広がっている。荒涼とした景色が胸に沁みる。
正義と信じた故の暴力とその爪痕が残っていた。
背後でじゃりっ、と砂を踏みしめる音が聞こえた。
誰か来たのかと思い、振り返ろうとした時、顔に温かい液体が降りかかった。
かぎなれた鉄の臭い、同じく慣れてしまった、ねっとりした肌触り。
同僚の血液と認識するのに時間はかからなかった。
俺の意思とは関係なしに、脊髄が左脚のホルスターに左手を伸ばす。
拳銃を引き抜き、そこでようやく意識が体に追い付く。
相手は一人。装備は革製の鎧と金属製の刃物。刃先には血が付着している。
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