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将軍「今期雇用者数は五十名内、ディンペリアル学園卒業生は五名となっていますグランツ総督」
将軍がグランツと呼ぶ男に書類を渡す。
グランツは書類を読み始める。
グランツ「何とまあ…我が母校の卒業生はやはり、優秀者ばかり…とはいかなかったようだな?」
将軍「若干一名、成績がすこぶる悪い生徒が」
グランツ「常に特待組から選別するようにと言っているにも関わらず、どうして普通科から選んだ?」
将軍「よく履歴書を御覧下さい」
グランツ「何…?」
グランツが再び書類を見る。
グランツ「キャビン・ネット…。武器商人一大企業シャノン家の親戚のネット家か?」
将軍「彼は実は校長推薦です」
グランツが不適な笑みを浮かべる。
グランツ「あの老いぼれ校長め…先の『オリハルコン』の一件で失墜した信頼を取り戻すつもりか…はたまた今後の就職先の確保のタメか…」
将軍「あそこの校長もなかなかあくどい」
グランツ「死に損ないめが変わらず生徒と我が身が可愛いと見る」
将軍「手筈はならば…?」
グランツ「中央勤務を許可しよう。武器商人の一大企業ともなればラインがあるだけでも大きく違うだろう。向こうの校長にも聞こえの良いようにだけ報告するように…何時も通りな?」
将軍「それならやはり…」
グランツ「中央勤務も中央勤務…部隊『最果て』が似つかわしい」
グランツが書類を返す。
将軍「仰せの通りに」
将軍は書類を受け取る。
グランツ「良い買い物をまたしてしまったようだ。学園には切っても切れない縁ばかり作ってしまう」
将軍「何を仰いますか総督。アナタの母校である以上、決して切ることなど不可能なのでは?」
グランツ「かもしれないな。あとの合格者は好きなところに配属してやると良い」
将軍「無論、特待組の待遇は格別に…ですな?」
グランツ「手離すようなことがないように」
将軍は部屋から出て行く。
グランツがイスに凭れる。
グランツ「さて…『オリハルコン』の変わりとなり得る存在か否か…最悪最低の部隊にて…試させてもらおうではないか…」
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