No.1

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彼は一目を置かれている。 一部からは良く思われているみたいだが、私にはこの男の良さが一切解らない。 ただ解るのは、男友達はたくさんいて、その人達が困ったことがあると彼に頼んでいる。 「ほら。」 「ありがとうの一つも言えないの?」 「問いの2、5、6間違えてるけど。」 彼はしれっと言うと、席から立ち上がり、友達のもとに歩いていく。 プリントを見ると、解答の隣に、薄い字で別な答えが書いてある。 「…マジで腹立つ。」 プリントの最後に、「こんなのも解けねーって馬鹿じゃねーの」と濃く書かれてあった。 消しゴムで消しても、うっすらと残り、私はそのプリントのまま出すしかなかった。
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