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スーツを着た黒髪のショートカットの女性は駅の改札口で待っていた。
電車が到着し沢山の人が改札口から出ていく。
女性は写真に写っている灰色のパーカーを着た少年を探していた。
(あれね)
少年を見つけた女性は少年の前に立った。
「初めまして。貴方が大和ショウタ君ね」
そう言い手を差し出すがショウタは何も反応せずただ俯いているだけだ。
女性は出した手を引っ込め自己紹介をする。
「私の名前は岩代ミユキよ。今からお父さんの所に行くから付いてきて」
そう言って歩きだすがミユキは駅構内に売られているお土産に目移りしていた。
「そういえばショウタ君はお父さんにお土産とか買った?買ってないならここで買いましょうよ」
言い終わらない内にミユキはツマミ系のコーナーに走った。
ショウタは何も言わずお菓子のコーナーに歩き出したが何を買うわけでもなくぶらりとしていた。
そんなほのぼのとした空気を打ち破るが如くサイレンが鳴り響く。
「非常事態のサイレン!?」
ミユキは両手一杯に抱えたツマミを持って店から出てきた。
駅構内に居た人達は慌てて逃げ出していた。
「ショウタ君は!?」
ミユキが辺りを見渡そうと横を見ればショウタが居たのでビックリした。
ミユキは一度ツマミを見て悔やみながらも抱えていた手を離した。
「さぁ!行くわよ!!」
ミユキはショウタの手を取り走って駐車場に停めていた車に乗り込んだ。
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