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駐車場に置いてある車に乗り込み今居る場所から退避する。
車内から振り向けば黒煙を吐く駐車場が見える。
「間一髪ね」
私は呟き再び前を向く。既に日本守備隊が戦闘を始めていた。
空はミサイルが翔び道路にはビルの残骸が横たわる。
車の隣を戦車が通る。通った戦車は直ぐ後ろで撃破された。
ミユキはショウタが何も言わないので左を見る。
ショウタはカバンを開けて子犬を取り出していた。子犬がキャンキャンと鳴いていた。
(!?)
ミユキはいつの間にと驚いた表情であったが運転中ゆえに直ぐに前を向いた。
ミユキは沈黙に耐えれない人である。前を向きながらショウタに質問していた。
「可愛い子犬ね。何て言う名前なの」
「………」
「私もペットを飼っていてね。でも仕事で忙しいからあまり遊んでられないのよ」
「………」
「ハハハ…」
「………」
会話は終了した。無言というのは意外にも心にずしりと響く。
ミユキはまるで寺の鐘の中に居るような感じがした。
「テイン」
ショウタは一言小さく言ったが無視をしていた訳では無かったとミユキは喜びに胸が震えた。
「テインね!良い名前だわ!」
「………」
またショウタは喋らなくなった。ミユキの目は少し潤んだ。
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