-南と夾-

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初夏の風が頬を撫でる。 「んー、風が気持ちいいね」 夾が隣で伸びをする。 グラウンドの方からは部活動をしている声が聞こえてきた。 あたしも、夾も部活には入っていない。 特に入りたい部活がなかったから。 だから自然と帰宅部行き。 「あっちぃ」 「めっちゃ喉乾いたわー」 昇降口のすぐ傍にある水呑場にいくつもの人影。 格好からしてサッカー部員だと思われる人達が蛇口を捻って頭から水をかぶったり、勢い良く飲んだりしていた。 よっぽど、練習きついんだ。 じめじめとした暑さがこっちにも伝わってくる。 いつの間にかそっちに視線を奪われていると。 水に濡れた髪を掻き上げる、1人の部員と目があった。
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