-南と夾-

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ーーー先輩と知り合ったのはまだ入学して間もない頃。 「いた…」 じわりと滲む血の跡。 両膝が痛いと悲鳴をあげていた。 いたって普通の体育の授業で派手にこけて保健室行きになった。 今思えば我ながらどんくさかったな。 足を少し引きづりながら保健室にたどり着いた。 中を除くけど先生のいる気配がなかった。 「…いないのか」 仕方ない、自分でやるか。 まずは救急箱でも探そうと辺りを見渡すが 「どこだし」 そう簡単には見つかりそうもない。 困ったもんだと首をひねると、背後でかたんっと物音がした。 「っ…!?」 びっくりしながら振り返ると、 「…けほっ…」 咳をしながら白いベッドからむくりと起き上がる人がいた。 起きながらも何度も咳を繰り返しててつらそうだった。 だから、 普段声をかけないあたしでさえ、その時は動いてしまった。
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