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「?…あの」
「1年生…だよね?」
彼の視線が一瞬だけ足元に落とされて、学年別のサンダルを確認したんだってわかった。
「はい」
そう言う彼のサンダルは1つ上の学年のもの。
やっぱり先輩だったか。
なんとなくそんな気がしてた。
敬語使ってて正解だった。
「俺、2年の棗祐希」
「…棗…先輩?」
「うん。サッカー部」
部活までは聞いてなかったが答えてくれた。
「君は?」
「えっ?」
「名前。……教えてくれる?」
再び交わる視線。
あたしを座ったまま見上げる顔に一瞬だけドキリとする。
「吉野…南です」
そう言った瞬間先輩が笑顔になった。
それから、あたし達の関係は始まった。
廊下ですれ違えば彼は手を振るし、笑顔を向ける、時には話しかけてくることもあった。
別に苦痛とも思わなかったしあたしもそれなりに反応を返していた。
彼は悪い人じゃない。
それくらいは理解してる。
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