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 茨城県・小美玉市に位置する航空自衛隊・百里飛行場――― 今、ここの管制塔(コントロール・タワー)は慌しい雰囲気に包まれていた。 何故かと言えば…… <<百里コントロールより、Eagress(イーグレス)810!直ちに進路を変更せよ!>>  コントロールの通信員がこちらに向かってくる影に向けて無線越しに警告する。 それに対して…… <<こちら810、現在高度2500フィート。問題無し、このまま300フィートまで高度を下げる!>>  Eagress810と呼ばれた影の主は全く警告を聞いている気配が無い。 <<何が"問題無し"だよ!問題大有りだ!このままの進路だとコントロール・タワーに衝突するぞ!!>>  通信員は810に向け、再三警告を飛ばすが…… <<だから心配しなくても大丈夫ですって……現在速度マッハ0.8、バーナー内圧正常、操縦・電子系統共にオール・グリーン(異常無し)!>>  やはり全く聞く気を見せない810。 <<人の話を聞け!Eagless810、射命丸 文(シャメイマル アヤ)二等空尉!これで最後だ、直ちに進路を変更しろ!!>>  先程より大きな声で警告する通信員。だが…… <<……>> 返答は無かった。 <<おい、まさか本当に進路を変えない気なのか?おい、考え直せ!今ならまだ間に合u(ry>> <<う、うわぁぁぁぁぁぁあああ!!!>>  先程の通信員を含め、管制塔にいる全員が悲鳴を上げる。 それと同時に、管制塔のすぐ脇を迷彩塗装と日の丸を纏った鋭利なシルエットを持つジェット機が飛び抜けていく。 その機体の名は"RF-4EJ リコン・ファントム"  アメリカの航空機メーカー「マクドネル・ダグラス」(今で言うボーイング)が製造していた戦闘機"F-4E ファントムⅡ"を航空自衛隊向けに改修した"F-4EJ"をベースに開発された偵察機である。  戦闘機時に装備されていた固定武装である、ジェネラル・エレクトリック社製の20mmガトリング機関砲"M61A1 ヴァルカン"が機首下にそのまま残されている為、「戦闘偵察機」という珍しい分類に入る機体でもある。  そして、それを駆るパイロットはと言うと……
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