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「…っかしいなぁ~」
中三の冬休み前のある日。
学校は違うが仲の良い女友達と連絡がつかなくなっていた。
<ガチャン>
家の固定電話の受話器を軽くたたき付けるように置く
「マジなんなんだよ。葵の奴よ。ちょっと約束すっぽかしたくらいで、無視するとかさ…」
二週間前…
俺は前々から約束していた女友達“葵”との約束を破っていた。
約束の内容はライブに行こうと言うものだったが、そのバンドをどうも好きになれないでいた。
理由は単純に音楽性の低さからだ。
まあ俺がそう思っただけで実際には自分に響かなかっただけで、聴いていても何も感じなかった、と言うのが正しい。
格好は決まっているが詩やメロディがでたらめで楽器も下手くそ。
それでもハマる時はハマったりするがどうにも響かないで好きになれずにいた。
ヴィジュアル系バンドには二種類いると思っている。
どんな手段でも良いから音楽を聴いてほしくて着飾るタイプと、
着飾りたいがために音楽を演るタイプ。
どう考えても自分の中では後者で好きになれなかった。
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