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ぽかーんと呆気に取られてしまう。
「おにいさんは?」
「はっ?」
「だから名前。おにいさんはなんて名前?」
あぁなるほど俺の名前を聞いていた訳だ。
当然の流れだ。
「俺はタケルだよ。」
石黒タケル。
それが俺の名前だ。
「へーどういう漢字?」
俺の名前はカタカナだから漢字はないんだけどなんか面白い返し方をしたかった。
「こうやって教えれば良いんだよ。」
そう言うと葵は俺の手を取って指で“葵”の文字をなぞる。
なんとなくだが理解できた。
…だがこれをされるのは凄い照れ臭かった。
そしてこれをするのはもっと恥ずかしい気がする。
「俺はカタカナで普通にタケルだよ。」
これで説明は終わる話しだ。
遠回しに冗談を織り交ぜて言うことはできなかった。
「ふーん…かっこいい名前だね。」
珍しい名前じゃないのでそんなことを言われたのは初めてだから照れてしまう。
「じゃあもう私行くね?」
と、急に言ってしまう。
あまりにも急でもっと話したいと思ったのか呼び止めそうになるが声をかけられない。
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