序章

3/9
前へ
/592ページ
次へ
「友羅!」 私を呼ぶ声。 「お前、最近ぼうっとしてっぞ。大丈夫か?」 「…うん。大丈夫。」 親友の 椎葉薫(シイバ カオル)だ。 彼とは保育園の頃からずっと一緒で、いつも私の事を支えてくれてる。 「…まぁ、気持ちは解る。だが…。」 「本当に大丈夫だよ。ありがとう。」 思い出したくもなかった。 1ヶ月前に元カレを交通事故で亡くした。 1年以上付き合ってた彼とは3ヶ月前に別れたけど、私は少し引きずっていて…そんな時に届いた訃報。 葬儀では遺体を見たけど、あれは間違いなく彼だった…。 「誠哉(セイヤ)の事は残念だったけど、でも、…私には、XX.(リリア)があるから大丈夫…。」 XX.とは、私が現在夢中になっているヴィジュアル系バンド。 中でもギターの 出雲弦歌(イズモ ハルカ)にハマってて…。 「…まあ、大丈夫だよな。それだけ幸せそうな顔してりゃ。でも無理はすんなよ。」 「うん。ありがとう。」
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加