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いつものダッフルコートを着て玄関を出た。
それほど寒くはないが、なぜかポケットに手を入れてしまう。これはおそらく、現代に生きる人間の習性だろう。手袋をしている私がポケットに手を入れてしまうのだから習性としか言いようがない。
無防備の顔を上げると、いつもよりも分厚い雲が朝日を完全に隠して、私の足元から延びる影を薄くさせていた。
あれから何度か吉永君の後をつけた。しかし吉永君はそのまま電車に乗り、寄り道をしたのはあの日だけだった。
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